- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県豊川市
- 広報紙名 : 広報とよかわ 令和7年8月号
◆豊川海軍工廠被爆80年 語り継がれる平和への思い
昭和11年 日本海軍が、豊川海軍工廠の建設を決定する。
昭和12年7月7日 日中戦争が始まる。
昭和13年11月 豊川海軍工廠の建設が始まる。
昭和14年12月15日 豊川海軍工廠(機銃部・火工部)で生産が始まる。
昭和15年4月 豊川海軍工廠工員養成所が開校する。
昭和15年12月23日 豊川海軍共済組合病院(後の豊川海軍共済病院)が完成する。
昭和16年12月8日 太平洋戦争が始まる。
昭和16年12月15日 豊川海軍工廠に新たに光学部ができる。
昭和18年6月1日 豊川町・牛久保町・国府町・八幡村が一つになり豊川市が誕生する。
昭和18年9月1日 豊川海軍工廠に新たに指揮兵器部ができる。
昭和19年11月23日 アメリカ軍が、豊川海軍工廠の爆撃の参考にするため、上空から写真撮影をする。
昭和20年1月27日 豊川海軍工廠で働く人の輸送のため、国府から市役所前(現在の諏訪町駅)までの豊川市内線(現在の名鉄豊川線)が開通する。
昭和20年5月19日 豊川海軍工廠に初めて爆弾が落とされ、約30人が死亡する。
昭和20年7月15日 豊川海軍工廠がP51戦闘機の空襲を受け、けが人が出る。
昭和20年7月24日 豊川海軍工廠上空から降伏を勧めるビラがまかれる。
昭和20年8月6日 広島に原子爆弾が落とされる。
昭和20年8月7日 豊川海軍工廠がB29爆撃機124機、P51戦闘機97機による空襲を受け、2500人以上の死者が出るなど大きな被害を受ける。
昭和20年8月9日 長崎に原子爆弾が落とされる。
昭和20年8月15日 太平洋戦争が終わる。
昭和20年10月6日 豊川海軍工廠の解散式が行われる。
◆豊川海軍工廠展
会期:8月31日(日曜日)まで(休館日を除く。ただし8月11日(月曜日)は開館)
時間:9:00から17:00まで
会場:桜ヶ丘ミュージアム
問合せ:桜ヶ丘ミュージアム
【電話】0533-85-3775
■2 豊川海軍工廠平和公園 つなぐ記憶
平成30年6月9日に開園した、豊川海軍工廠平和公園。園内にある平和交流館には語り継ぎボランティアが常駐し、希望に応じて、当時から残る建物の見学を含めた園内ガイドを聞くことができます。
語り継ぎボランティアとして活動を行う片岡さん、夏目さん、葊田さん。ボランティアを行う3人に思いを聞きました。
・廣田幸生さん
・夏目和佳さん
・片岡優美さん
(注記)廣の字はまだれに黄です。
◆語り継ぎボランティアをはじめたきっかけは?
夏目さん:高校生の時、生徒会役員として母校の歴史をひもとく中で、空襲で命を落とした同年代の学生の存在を知りました。コロナ禍だったこともあり、状況は大きく異なるけれど「自分たちではどうしようもない事情で日常を失わざるを得ない高校生」という部分に共感し、当時のことをもっと知りたいと思うようになりました。その後、募集ポスターを見て、幼なじみの片岡さんを誘い、活動に参加しました。
◆ボランティアになるためにどんなことを学びましたか?
片岡さん:ボランティアの養成講座を受講し、年代や考え方が異なる受講者との交流で刺激を受けながら、豊川海軍工廠について学びました。また、祖父から空襲のすさまじさが伝わる話を聞き、当時の状況を自分なりに理解しました。
◆ボランティアを行う中で意識していることは?
廣田さん:ガイドをする際には、私自身の考えを押し付けず、実物を見たり感じたりしたことを通して、参加者が戦争や平和について考えられる時間を提供するよう意識しています。
◆ガイドを受けた方からの声は?
片岡さん:「戦争を身近に感じた、豊川にこんな歴史があったとは知らなかった」という声が多く寄せられます。また、幅広い年代や専門知識を持つ方が訪れ、ガイド側も常にさまざまな視点から学びを得ています。活動を通して知識や思いを伝えるだけでなく、自らも学び、成長できる環境だと感じます。
◆語り継ぐことの重要性についてどう考えますか?
夏目さん:歴史を語り継ぐことは、過去から学び、未来をどうつくるか考えるために重要だと考えています。しかし、過去の出来事は意識してつながなければ簡単に風化してしまいます。戦争体験者が減る今、体験者の記録を残すだけでなく、一人でも多くそれを語り継げる人がいることが必要だと考えます。
◆戦争を知らない世代に伝えたいこと
廣田さん:平和は当たり前に存在すると考える方もいると思います。しかし、今ある平和の背景には、多くの犠牲者がいるという事実があります。戦争では、本来ならもっと長い人生を送るはずだった若者が大勢亡くなりました。このような事が繰り返されないよう、工廠の歴史を語り継いでいきたいと思います。戦争を体験していない私たちにとっても、知識や思いを誰かに伝えることは、難しいものではありません。皆さんも一緒に、戦争や平和について語り継いでいきませんか。