健康 健康講座

■フレイルとロコモについて
岩倉市医師会
大地整形外科 河内 賢

岩倉市の皆さんこんにちは。皆さんはフレイル、ロコモについてご存じでしょうか。まだご存じない方も多いと思いますので今回はフレイル、ロコモとは何かということと早めの対策で健康寿命を伸ばせるということについてお話させていただきます。ご高齢の方向けのお話ですが、若い皆さんもご自身の将来を見据えて考えていただければと思います。

(1)フレイルとは
フレイルとは活動的な生活をしている状態と要介護状態の間の状態です。例えば、半年で3kgの体重減少、横断歩道を青信号で渡り切れない、漠然とした疲労感、普段の運動不足などで診断されるいわゆる虚弱状態を指します。また身体能力だけでなく、外出減少や独居なども社会的要因、認知機能低下や抑うつなどの心理的な要因も関連し、そのままでは要介護状態になる危険度が増すことになります。最近では、口腔機能の低下(噛めない、のみ込めない)が原因での栄養状態の悪化により全身の衰弱をもたらす「オーラル(口の)フレイル」も問題となっています。

(2)ロコモとは
ロコモとはロコモティブシンドロームの略称です。移動することを表す英語のロコモーション、移動する能力があることを表すロコモティブから作った言葉で、移動能力が衰えた状態を指します。フレイルと同様に進行すると要介護状態になる恐れがあります。ロコモになっているかどうかは、3つのロコモ度テストで判断できます。詳細はスマホで「ロコモ年齢」で検索するとチェックできますのでぜひ一度検索してみてください。簡便なロコモチェックテストとして「20秒間片足立ちで立っていられない」場合はロコモになっている可能性がありますので試してみてください。

(3)元気で長生きするために
さて、ご自身がフレイルやロコモになっているような場合はどうしたら良いでしょう。幸いにしてフレイルやロコモは自助努力で克服が可能です。フレイル対策については3本の柱、すなわち栄養(タンパク質を1日体重当たり1g、栄養バランス)、運動(1日5千歩は歩く、筋トレ)、社会参加(人と触れ合う)が大切です。ロコモについては、ロコモトレーニングが推奨されています。具体的には軽いスクワット(1日3回1回あたり5から6回)、片足立ち(1日3回1回あたり1分間)を継続すれば、足腰が強くなりロコモから脱却できる可能性があります。
2022年4月1日に日本医学会連合は「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」を発表しました。健康長寿の達成のためには、フレイルやロコモに対して適切な対応が必要であるとし、80歳でも元気に動ける「80GO(ハチマルゴー)」運動を展開しています。皆さんもフレイルやロコモになっていないかを早めにチェックし、ご自身の問題として対応していただければ幸いです。