くらし きらり四日市人 Vol.149

NPO法人四日市ウミガメ保存会会長
下田菜生(なお)さん

楠町の「吉崎海岸」は、工業地帯に隣接しながら市内で唯一残る天然の砂浜です。この砂浜の環境保全に取り組む「四日市ウミガメ保存会」は、2009年の発足以来、毎月第1日曜日に海岸の清掃活動などを続けています。2代目会長の下田菜生さんに、今年8月で活動が200回の節目を迎える保存会の歩みと今後の抱負をお聞きしました。

◆コンビナートの街にアカウミガメを
保存会は「コンビナートの街にアカウミガメを呼び戻そう」をコンセプトに発足しました。海岸のごみ拾いに合わせて外来植物の駆除も行っています。その後、自然保護活動に携わる人を講師に迎え、勉強会を開催します。
参加者は未就学児から90代までと幅広く、毎回100人くらい。毎年6月の環境月間には企業からの参加が増え、約500人にもなります。アカウミガメの産卵は2014年を最後に確認されていませんが、外来植物の駆除の効果で、減少していた植物が多く花を咲かせるなど、取り組みの成果は着実に表れていると思います。

◆「みんなのふるさと四日市」を目指して
こどもの頃から父の里山保全の活動に同行していたことから、自然を身近に感じていました。自然研究会に所属していた高校時代、市内の環境イベントに参加し、保存会の存在を知りましたが、当時はウミガメには興味を持ちませんでした。大学生になり「自然は山・里・川・海でつながっている。環境に関する情報を自分で確かめたい」という思いが湧き、活動に参加するようになりました。その後、先代の会長から「若い人に譲りたい。長く継続してほしい」と託され、社会人になった23歳で会長を拝命し8年が経ちました。今は誰もが気楽に参加できる、ゆるい活動を大切にしながら「みんなのふるさと四日市」というキャッチフレーズで取り組んでいます。

◆保存会の足跡をたどる絵本作り
吉崎海岸は2023年に、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」として環境省の自然共生サイトに認定されました。市民ボランティアの活動が認められたことは誇りです。現在、小学生から高校生までに絵や文章、写真で海岸への思いを表現してもらい、保存会の足跡をたどる絵本作りを進めています。
この自然豊かな海岸が、今後も皆さんの心のよりどころになるよう、活動を進めていきたいです。

◎8月放送のCTY-FM「よっかいちわいわい人探訪!」でも紹介します。(放送時間は本紙裏表紙へ)