くらし 【特集】猫と共生するために、適正な飼育を(1)

■安芸高田市の社会問題!猫の多頭飼育崩壊、無責任な飼い方
猫の多頭飼育崩壊や無責任な餌やり。それはテレビの中だけの出来事ではありません。安芸高田市でも、すでに数百件もの多頭飼育崩壊が確認されており、屋外で不適切に飼育されている猫は少なくとも数千匹にも上ります。
これは、もはや見過ごせない深刻な社会問題です。「自分には関係ない」と無関心でいるのではなく、人間と猫が共生するために、正しい知識を持って行動してください。

■大大大問題!!猫の多頭飼育崩壊
◇あなたの近所にありませんか?多頭飼育崩壊とは
・飼い主が何匹いるか把握できていない
・飼い主が健康状態の悪い猫を把握していない、世話をできていない
このような状態のことを指します。
飼い主自身が飼育崩壊に気付いていないことも多く、屋外で餌を与えて飼育しているケースも見られます。敷地の外に餌や水の容器が置かれていたり、ふん尿による悪臭がする場合は、そうした状況が疑われます。

◇「自分には関係ない」では済みません!
屋外で暮らす猫たちは、いくつかのグループに分かれて行動しながら、次第に地域全体に広がっていきます。その結果、餌を与えていない家庭の周辺にも猫が現れるようになり、「自分には関係ない」では済まされない状況に発展してしまいます。

◇なぜ、多頭飼育崩壊が起きるのか?
・避妊・去勢をしないのが根本的な原因!
猫は1年に4回発情期を迎え、交尾をすればほぼ100%妊娠します。最多で年に4回出産することができ、1回の出産で3、4匹以上の子猫を産むため、わずかな期間で1匹が10匹、20匹と急激に増えてしまいます。
そして、猫の頭数が増えると餌代やトイレの清掃、衛生管理などの負担が増大し、経済的・身体的・精神的な限界を迎えるようになります。適切な管理ができなくなり、次第に手が付けられなくなることで、多頭飼育崩壊が起こります。

▽1匹の妊娠猫が
・繁殖期年2~4回出産(1回の出産で4~8匹)
1年後:20匹以上
2年後:80匹以上
3年後:2,000匹以上

◇ご近所さんが多頭飼育崩壊っぽい…。どうすればいい?
迷わず市役所へ連絡してください。状況を早く把握して対応すれば、猫や飼い主、近隣住民の被害を最小限に抑えることができます。動物支援団体と連携し、必要な支援や指導を行います。

■猫の飼育は屋内で!
※室内飼育に努めることは、環境省『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準「第5猫の飼養及び保管に関する基準」』に明記されています。

●猫の適切な飼育の仕方
猫によるトラブルは全て、飼い主の知識不足が原因!
飼育前にしっかり勉強することが何より大切です。

◇これらは適切ではありません!
・「トイレのために外に出している」
誤った飼育方法です。室内にケージを設置してトイレを置いて、ケージ内で半日~1日過ごさせてください。猫は必ずトイレで排せつするようになります。
・「外で走らせてあげたい」
人間側の思い込みです。外には、命を落とすリスクがたくさんあります。

◇外には危険がいっぱい!
▽感染症
・猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)
・猫白血病ウイルス感染症
・猫伝染性腹膜炎 など

▽交通事故
・車と衝突する
・車の隙間に入り込む など

▽迷子
・予期せぬ事態(大きな音など)でパニックになる
・病気やけがで動けなくなる
・繁殖相手を探し放浪する

▽予期せぬ繁殖
・望まない子猫が生まれる

▽近所からの苦情
・ふん尿被害
・ごみを荒らす
・鳴き声
・花壇が荒らされる
・爪で車が傷つけられる など

▽ケンカ
・縄張り争い
・メスをめぐる争い など

◇室内飼育でも避妊・去勢手術を
病気の予防やストレスの軽減になり、繁殖のための争いや脱走、望まない妊娠を予防できます。また、オスの場合は、去勢手術をすることで、あちこちに尿を掛けるスプレー行動を予防できます。

▽室内飼育でも身元表示を!
・マイクロチップ
・連絡先を書いた迷子札
・首輪
猫の首輪は引っ掛かりを防止するために、力が加わると外れるタイプを使用すると良いでしょう。

室内で飼っていても、災害や脱走などの思いがけない出来事に備えて、迷子札やマイクロチップなどで身元表示をしておくことが大切です。

◇室内飼育でも避妊・去勢手術を
病気の予防やストレスの軽減になり、繁殖のための争いや脱走、望まない妊娠を予防できます。また、オスの場合は、去勢手術をすることで、あちこちに尿を掛けるスプレー行動を予防できます。

●最期まで命に責任を持ちましょう
終生飼育は飼い主の責任として当然のことですが、1人暮らしや高齢の方は、自分が病気や入院などで世話ができなくなったときに備えることが大切。愛する猫を路頭に迷わせないために、あらかじめ準備をしておきましょう。
準備しておくこと:
・子どもや信頼できる人に後見人になってもらう
・身近に後見人がいなければ、ペット信託などの制度を活用する
・猫にかかる医療費などの準備

◇猫の飼い主さん必見!
『私が死んだあとも愛する猫を守る本』
富田 園子/著
日東書院本社/刊
飼い主が要介護状態になったり、亡くなった後でも、猫の命と暮らしを守るために、必要な知識、備え、支援制度が分かりやすくまとめられた一冊です。
※中央図書館で借りられます