文化 第14回 高校生の神楽甲子園 ひろしま安芸高田

■日本の伝統芸能を守る高校生たちの熱い舞台
今年も、高校生たちが情熱と青春を懸けて躍動する熱い2日間となりました。日藝選賞に輝いた喜びの声と、全国から集まった伝統芸能を紹介します。

◇今年の日藝選賞はこちらの2校!
・1日目 可部高校
6年ぶりの日藝選賞で、うれしすぎます。「滝夜叉姫」はずっとやりたいと思っていた演目。舞の表現力を大事にしたくて、いろんな神楽団の舞を参考にしてきました。うちの部は未経験の人が多いので、まずは神楽を楽しんでもらうことを意識しています。あとは、バシッと決めるところ、合わせるところを徹底して練習しています。
神楽部部長 伊藤 飛真さん(3年)

・2日目 江津高校
初めて選ばれたので驚きました。今回の「鞨鼓(かっこ)・切目」は先輩たちも演じたことのない難しい演目。脚運びやキレの出し方も独特で難しかったです。神楽は、物語や所作の意味を理解し、役の性格を踏まえて演じることが大切。さらに、歴史や背景を知ることで、ただ舞うだけではなく、深みのある表現につながると感じています。
神楽部部長 畑岡 慶彦さん(3年)

■全国から集結!高校生が受け継ぐ伝統芸能
岩手、徳島、高知、大分、宮崎…。今年も、全国の高校生たちが自らの地域に伝わる芸能を披露しました。伝統を未来へつなぐ部長の皆さんに、その魅力を伺いました。

◇岩手県 葛巻神楽(くずまきかぐら)
激しい舞が特徴。中心的演目は「権現舞」。獅子の姿をした権現様が供物の米を受けて収穫を喜び、参列者の頭の上で「歯打ち」をして厄を払う。

・葛巻高校 郷土芸能部 谷地 樺林さん(2年)
優雅で歴史ある文化を背景とした舞にこそ伝統芸能の美しさがあると思います。地域の文化や芸能を、自分たちの手で後世へ継承していけることに意義を感じています。

◇岩手県 早池峰神楽(はやちねかぐら)
岳神楽と大償神楽の2つの神楽座の総称。岳神楽はテンポが速く勇壮、大償神楽はゆるやかで優雅。同じ演目でも舞の動作、所作が異なる。

・大迫(おおはさま)高校 神楽部 瀨川 二瑚さん(3年)
早池峰神楽の舞手は少人数ですが、所作は美しく、力強く、人々を引き付けます。岳神楽と大償神楽は対照的で、動と静を映し出すような舞が印象的です。

◇徳島県 阿波(あわ)おどり
日本三大盆踊りの一つ。華やかな踊り子たちが繰り広げる躍動感あふれる舞は圧巻。見ている人の心も弾ませ、会場が一体感に包まれる。

・鳴門高校 阿波踊り部 福冨 みづきさん(3年)
「踊るあほうに見るあほう」という言葉のとおり、参加することで何倍も楽しくなります。おはやしが鳴るだけで、一気にお祭りの雰囲気に変わるのも好きです。

◇高知県 津野山神楽(つのやまかぐら)
五穀豊穣に感謝して町内各地で舞が披露される。神楽は18節から成り、全てを舞うには約8時間を要する。質素ながら千百余年の歴史の荘厳さが漂う。

・檮原(ゆすはら)高校 梼原ディスカバークラブ 武正 秦さん(3年)
太鼓や笛の軽快な音に合わせて、舞手が盛り上がっていくところが好き。体を大きく使って力強く表現するため、観客を圧倒する迫力があると思います。

◇大分県 庄内神楽(しょうないかぐら)
深山流と犬山流の二流派を持つ。勇壮で、ときにユーモラスな舞と、力強い太鼓の音が特徴。現在は12の神楽座が伝統を受け継いでいる。

・由布高校 郷土芸能部 立川 眞於さん(3年)
早いテンポのおはやしに合わせて舞い手たちが息をぴたりとそろえて舞う姿は、子どもから年配者まで見る者を引き込みます。力強い太鼓のリズムも魅力です。

◇宮崎県 高千穂神楽(たかちほかぐら)
五穀豊穣を祈る平安時代から続く神事。毎年11月中旬から翌年2月に約20の集落で夜神楽が奉納され、「高千穂の夜神楽」として知られる。

・高千穂高校 神楽保存会 橋本 健由さん(2年)
神話の世界や伝統文化を体験できるのが魅力。「柴引」「手力雄」「鈿女」「戸取り」は岩戸を開いて光を取り戻す神話を表現しており、神秘的な雰囲気が好きです。

■神楽を通じた佐賀との絆が、高校生にも受け継がれています
安芸高田市と佐賀県は、佐賀神楽団の立ち上げや指導など、神楽を通じた交流でつながりを深めてきました。佐賀県立太良高校では、選択授業で神楽を学ぶ取り組みが行われており、生徒たちが神楽甲子園の視察に来られました。

・香月 梨花さん(2年)
高校生でも、練習を重ねれば高いクオリティーの神楽が演じられることを実感。実際に観る神楽はとても面白く、少し分からない部分があっても迫力や魅力を感じられました。高校で習っている以外の神楽を鑑賞でき、たくさんの学びがありました。

・山本 あいりさん(2年)
同じ高校生が観客を楽しませている姿を見て、本当にすごいと思いました。私は笛を担当していますが、もっと努力しようと思いました。また、さまざまな演目を知ることができ、神楽をこれまで以上に面白く感じられるようになりました。

問合せ:商工観光課 観光係
【電話・お太助フォン】47-4024