くらし 地域での支え合い、つながりで培う自主防災力(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県西海市
- 広報紙名 : 広報さいかい 令和7年7月号
▽防災・減災のための自主防災組織とは?
近年、局地的な集中豪雨や大型化する台風などの自然災害が増え、その影響がますます深刻化しています。こうした状況の中で、地域住民が「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識(共助)を持ち、自主的に結成する「自主防災組織」の重要性が高まっています。災害時には、「公助」の支援にも限界があるため、自分や家族、そして地域の人々を守るために重要な役割を果たします。
平常時には、防災知識の普及や防災訓練の実施、防災資機材の整備・点検などを行い、災害時には情報の伝達や救出・救助、避難支援、自主避難所の開設・運営など、多岐にわたる活動を行っています。
今回は、実際に自主防災組織で活躍する5名の方々にインタビューを行い、その活動内容や思いを伺いました。彼らの声を通じて、地域防災の現状と未来を一緒に考えてみましょう。
《地域みんなが防災要員 自主防災活動に参加しましょう!!》
〇なぜ必要?地域の防災力 災害時の被害を抑える
[自助]自分自身や家族・財産を自ら守るための活動
[共助]地域や近隣の人が互いに協力し合う活動
[公助]消防・警察・行政が実施する救助や援助活動
▼地域で防災に携わる方に聞きました‼ もしもの時のために自分たちでできること
▽体験型の訓練で実効性のある防災対策を進めています
〇大島町 黒瀬自治会自主防災組織会長 中島義則(なかしまよしのり)さん
私たちの住む黒瀬地区では、昼間は若い世代が仕事に出ているため、高齢者や女性が多く在宅している状況が見られます。こうした時間帯に火災が発生した場合を想定し、自主防災組織・消防団・地元住民が連携し、今後は、毎年消火訓練を実施していこうと考えています。
訓練では、消火栓を使った放水訓練や、消火器を使用した初期消火訓練を行います。地区の男性の多くは、かつて消防団に所属していた経験があり、消火栓の使用に慣れていますが、女性にとっては初めて扱うケースも多く、いざという時の備えとして非常に有意義だと喜ばれています。
消火器の訓練では、消火器を使った実践的な体験を行っています。使用経験の有無によって、緊急時の対応には大きな差が出るため、この訓練も非常に重要です。
こうした訓練を通して、地域の防災意識は非常に高く、全戸から少なくとも一人は必ず参加していただけるようにしていきたいと考えています。
これまでの訓練は火災を想定したものが中心でしたが、当地区は海沿いであり、裏山が斜面となっている住宅も多いため、今後は台風や大雨といった災害を想定した訓練も行っていきたいと考えています。すでに地区独自の避難場所や危険箇所の選定は済んでいるので、これらを活用し、避難経路の確認なども含めて、実効性のある防災対策を進めていきたいと思っています。
▽「できることは何でもやる」の姿勢で備えを怠らない
〇西海町 川内公民館自主防災組織会長 山下秋法(やましたあきのり)さん
私たち川内地区では、平成25年より独自の自主防災組織を立ち上げ、規定なども作成したうえで継続的な防災活動に取り組んでいます。
コロナ禍以前には、警察や消防署にもご協力いただき、各種防災対策の講習や啓発パレードを実施していました。現在は規模を縮小しつつも、地元消防団との合同による消火訓練、消防団のポンプ操法の披露、地区内の見回り、啓発のための幟の掲揚など、地道な活動を継続しています。
また、いざという時に自力で避難できない方のために、独自に名簿を作成し、避難支援が必要な住民にも目が行き届くよう努めています。
川内地区は斜面が多く、実際に地滑りや落石といった自然災害が発生した事例もあるため、危険箇所の把握と対策は日頃から欠かさず行っています。定期的に巡回パトロールを実施し、緊急車両の通行に支障をきたす草木の除去なども、必要に応じて対応しています。
私たち自主防災組織は、地域の皆さんの安全のために「できることは何でもやる」という姿勢で取り組んでいます。ただし、組織だけでは限界もあるため、今後は地域住民や公民館と一体となって、防災活動を進めていく必要があると感じています。
自主防災活動に終わりはありません。これからも新しい視点を持ち、私たち自身の目で地域を見つめ、備えを怠らないよう努めます。
▽万全の体制を整えるため機材や設備には定期的な点検を
〇西彼町 風早自治会自主防災組織会長 廣瀬幸雄(ひろせゆきお)さん
私たち風早地区では、自主防災活動として、郷の役員と消防団あわせて約30名で活動を行っています。
これまでの主な活動内容は、大雨や台風による被害の後片付けです。かつては大雨によって近隣の川が氾濫し、ひどい場合には車が流される被害もありました。現在は河川整備が進み、氾濫の危険性は減少しましたが、今後さらに激しい雨が降る可能性もあるため、引き続き注意が必要だと考えています。
また、風早地区は山道が多く、台風の後には倒木によって道路が塞がれることも多々あります。その際には地域住民の皆さんにも協力をお願いし、復旧作業を行ってきました。こうした作業で使用するチェーンソーなどの機材は、自主防災組織の備品として地区内の専用倉庫で一括管理しています。これらの機材は定期的に保守点検を実施し、いざという時に確実に使用できるよう備えています。
火災時に使用する消火設備については、消防団が月2回の頻度で点検を行っており、こちらも万全の体制を整えています。
風早地区は周辺地域と比較して人口が少なく、特に若年層の数が少ないこともあり、自主防災組織として手が回りきらない部分もあります。しかし、地域の皆さんの安全を守るため、今後は危険箇所の点検や避難場所までの経路確認など、今できることを一つずつ着実に進めていきたいと考えています。