くらし 地域での支え合い、つながりで培う自主防災力(2)

▼地域で防災に携わる方に聞きました‼ もしもの時のために自分たちでできること
▽「救急安心カード」の活用で離島でも安心して暮らせるように
〇大瀬戸町 本村自治会自主防災組織会長 石谷康広(いしたにやすひろ)さん
私たちは松島という離島で暮らしていますが、防災活動を行うにあたって、離島であるというだけで大きなハンディキャップとなります。何か起こった時にすぐに消防隊や救急隊が来るわけでもなく、大きな病院があるわけでもありません。この不利を克服するために、私たちは島の各地区の区長さんや消防団と密接に連携し、さまざまな対策を進めています。
その対策の一つとして「救急安心カード」を作成しました。「救急安心カード」には、特に一人暮らしのお年寄りや身体が不自由な方々が、いざという時に速やかに避難したり救助ができるよう、かかりつけの病院や緊急連絡先などの情報を記入しています。この情報を基に、避難の優先順位をつけたりもしています。
元々は、老人会から「見守りカードを作ってほしい」との依頼を受けたことがヒントになりました。皆で話し合い、地域の皆さんのご理解もいただいて動き始めた活動です。当初の想定よりも時間はかかりましたが、最近になってほぼすべての本村地区の住民の救急安心カードが集まりました。この救急安心カードをうまく活用し、今後起こるかもしれない災害に備えて、被害をより少なくしていきたいです。
また、このほかの活動としては消防署で講習を受けた人を招いてAEDの使い方講座を開いたり、消防団と合同で消火訓練を行っていきたいと考えています。

▽非常時に役立つ「福祉ベル」を独自に導入
〇崎戸町 本郷地区自治会自主防災組織会長 加藤一司(かとういちし)さん
私たち本郷地区では、明確な課題があります。それは、高齢者が非常に多く、いざという時にどのように対応していけばよいのかという点です。大雨や台風、火災が発生した場合の対応としては、大雨や台風の際には作成している要支援者リストを参照し、避難所までの送迎を行います。特に台風の際は、地理的に強風が吹きやすいので要警戒となります。また、以前火災が発生した際に消火設備をうまく使用できなかった反省を踏まえ、年に一度消火訓練を実施しています。地域の皆さんの防災意識も高く、この訓練にはほぼすべての住民が参加してくれます。
このように、さまざまな活動を行っていますが、他の地域と特に違う点が「福祉ベル」を導入していることです。
「福祉ベル」とは、平成26年から社協を通じて一人暮らしの高齢者宅に設置されたもので、非常時に屋内のボタンを押すと玄関先のベルが大音量で鳴り響き、周辺の人に異常を知らせる仕組みです。幸いにも、導入以降一度もベルが鳴ったことはありませんが、このベルがあることで、何かあってもすぐに近所の人が駆けつけてくれるという安心感につながっているようです。
特に何もなくても、普段から近隣の皆さんで声を掛け合って生活しているのも、この地域ならではの特長かもしれません。