- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県菊池市
- 広報紙名 : 広報きくち 令和7年9月号
【条例の概要】
●基本理念
・障がいの有無にかかわらず、人格と個性を尊重する。
・手話は言語であり、ろう者が受け継いだ文化的所産である。
・障がい者自らが、特性に応じたコミュニケーション手段を選択し、選択の機会の確保と利用できる機会を拡大する。
◇市の責務
・手話を言語として普及させる。
・障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進に関する施策の実施。
◇市民と事業者の役割
・市の基本理念の理解を深め、市が推進す
・る施策に協力すること。
〈インタビュー〉手話サークル やまびこ会
■まずは一歩踏み出して
手話サークルやまびこ会は、昭和56年に創設され、市内で手話の教室や通訳などの活動をしています。
20年以上、やまびこ会で活動を共にする梅田富子(うめだとみこ)会長とろう者の益嵜洋子(ますざきようこ)さんに、活動内容や条例制定に対する思いを聞きました。
◇梅田富子会長(間所)(左)
新しい趣味を見つけるため、会に入りました。それまでは、手話はやったことがなく、ろう者の方々とも話したことはなかったです。
手話は、独自の文法があり、表情の読み取りも難しく、覚えるのに時間がかかりました。何回も同じことを質問して、普通なら怒られそうなところを、ずっと笑顔で教えてくれました。
教室が終わった後も、時間を忘れて手話で話をしていました。教えてくれたろう者の方々にはとても感謝しています。休みの日には、スポーツや旅行を一緒に楽しんだこともあり、とても楽しかったことをよく覚えています。
現在は会員15人で活動しています。前みたいにスポーツや旅行をすることはなくなりましたが、教室で会うと世間話に花が咲きます。
条例の制定をきっかけに、一人でも多くの人が手話に関心を持ってくれたらうれしいです。やまびこ会は、どなたでも入会できます。少しでも興味関心のある人は、一歩踏み出して、気軽に足を運んでください(関連6ページ)。
◇益嵜洋子さん(北原)(右)
病気が原因で3歳から耳が聞こえなくなりました。高校生からろう学校へ入り、周りに追いつくよう、必死に手話を勉強しました。
やまびこ会には、子どもが高校に進学し、子育てが落ち着いたときに入会しました。手話ができる人と出会える場所はとても貴重。みんなでおしゃべりする時間はとても楽しいです。
今は3人の孫にも恵まれ、孫とも手話で会話をしています。手話は私たちにとって、とても大切なものです。
昔と比べると、手話に関する本も増え、スマートフォンも 普及し、生活 が 便利になりました。ですが、手話ができる人はまだ少なく、コミュニケーションに苦労することがあります。片言でも手話ができる人がいると、安心してコミュニケーションをとることができます。
条例が制定されたことはとても良いことだと思います。ろう者を含めた全ての人が生活しやすい社会になるように、取り組みを進めてもらいたいです。