くらし 《特集》ろう者が育んだ手話(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県菊池市
- 広報紙名 : 広報きくち 令和7年9月号
■個性に合った対話のかたち
私たちは、自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを理解するために、さまざまなコミュニケーション手段を用いています。
手話もその一つ。
9月23日は、「手話の日」と「手話言語の国際デー」です。
手話について知り、誰もが安心して暮らせる社会をつくるために、一人一人ができることを考えてみませんか。
問い合わせ先:福祉課
【電話】0968-25-7213
■ろう者がつないだもの
令和7年4月1日に「菊池市手話言語の普及及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例」を制定しました。ろう者がどのように手話をつないできたのかを知り、これから目指すべき社会を考えます。
●使用が禁止されていた過去手話は、言葉で話す音声言語とは異なり、手や指、顔の表情などで視覚的に表現する言語です。聴覚に障がいのあるろう者にとっては、なくてはならないものです。
明治11年に日本初のろう学校が創設され、指文字や身振りで表現する手勢法(現代の手話のような方法)で、ろう教育が始まりました。
ところが、明治13年のミラノ会議で、ろう教育での手話の使用禁止が決定。口話法(口の動きで言葉を理解し、聴者のように話す方法)が世界で推進されます。
昭和8年、日本のろう学校でも発語の妨げになると、手話の使用を禁止。ろう者は、学校以外で、独自に手話を学んでいました。長年、手話の使用が禁止されたことで、多くのろう者は不安を抱えたまま、生活を送ることになります。
●法的に言語として位置付けられたが―
昭和22年に全日本ろうあ連盟結成大会が開催されました。昭和44年には、同連盟が手話の書籍を発刊。少しずつ手話の普及活動が盛んになっていきます。
平成18年の国連総会では、「障害者の権利に関する条約」が採択され、手話は言語であると世界的に認められることに。平成23年には、日本でも障害者基本法が改正され、手話が言語であると法的に位置付けられました。
しかし、現在でも、手話を理解する人は少なく、十分に普及を進めることはできていません。
●誰もが安心して暮らせる社会を目指して
「テレビで手話を見ることは増えましたが、実際に接する機会は少ないのが現状です。市民一人一人が手話を身近に感じる環境を整えていく必要があります」と話すのは、福祉課の川口玲子課長補佐。
「ろう者や手話について知り、理解しようとする気持ちが大切です。お互いを理解し合うことで、誰もが安心して暮らすことのできる社会の実現につながります」