- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県小田原市
- 広報紙名 : 広報小田原 令和7年10月号 第1278号
◆継承したい 地域の諸行事
今年の夏は、昨年にも増して暑く長い日々でした。本市でも、観測史上最高を更新する39・2℃を記録。数年前までは「異常」な暑さと形容できましたが、もはやこれが「平常」の暑さになっていくのでしょうか。二十四節気・七十二候など、日本が誇る四季が次第にその繊細さや多彩さを失っていくとしたら、悲しいですね。
さて、この夏も市内各所では納涼祭や夏祭りなどの地域行事が開かれ、私も都合の付く限りお訪ねしました。コロナ禍で諸行事が縮小・休止した時期を乗り越え、各地域には再び活気が戻ってきていると感じます。
広い公園やみどりの広場、小学校や保育園などの校庭、公民館前の広場、神社やお寺さんの境内、商店街の駐車場、通行止めにした車道などを会場に、いわゆる縁日から本格的な盆踊りまで、そのスタイルはさまざま。
共通しているのは、小さな子どもからお年寄りまで、多世代が一堂に会し、それぞれに交流のひとときを楽しむ姿。子ども会の解散や老人会の休止などの知らせが多数届きますが、そんなことはどこの話?というくらい、人が集まります。多くの皆さんがこうした場を求めているのだと、つくづく感じます。
様子が変わってきたのが、敬老行事と健民祭です。以前、市内では敬老行事が150カ所以上で開かれ、うち50カ所近くからご招待状が届きましたので、市長・両副市長・教育長らで分担しご挨拶に伺ったものです。ところが近年は開催そのものが激減し、ご招待も今年は10カ所程度。コロナ禍を経ての縮小・廃止に加え、この残暑の厳しさで、休止したところが多いようです。
健民祭は、以前は地区対抗競技中心のプログラムが一般的でしたが、最近は参加選手を集めるご苦労が多いため、競技ではなく誰もがスポーツに親しむフェスティバル形式が増えてきています。綱引きや地区対抗リレーなどの白熱が見られなくなったのは、いささか寂しい気もします。
人口減少、少子高齢化、加えて暑く長い夏の影響などで、変わらざるを得ない諸行事もありますが、ともすれば地域の絆が薄れがちな中、人と人とが出会い、にぎやかに交流する場は、これからますます大切になってきます。地域の諸行事は、工夫しながら何とか継承していきたいものです。