- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県豊岡市
- 広報紙名 : 広報とよおか 2025年3月号
皆さんに豊岡の自然を身近に感じてもらうため、豊岡らしい季節の言葉を紹介します。
■ジンバが採れる季節になりました
海沿いに住む方々には馴染(なじ)み深いジンバは春先が旬の海藻です。正式名称はホンダワラで、最近マスコミなどでよく取り上げられるアカモクも、同じホンダワラ科の海藻です。
ジンバは夏のうちは小さくて目立ちませんが、秋から冬にかけてぐんぐん伸び始め、春には長さ2〜3mになります。小型船で行う磯見漁で採れます。炊く、炊き込みご飯や汁物の具にするほか、最近では、サッと茹でてサラダに添えたりもするようです。
◇魚たちのゆりかご
ジンバは私たちの食料となるほか、海ではいろいろな役目を果たしています。
海中にはジンバの森「藻場(もば)」があり、メバルやカサゴなど、磯魚の大切なすみかです。また、春を過ぎるとジンバは切れて海面を漂う流れ藻となり、トビウオなどの産卵場所やブリの稚魚のすむ場所になります。ジンバは魚たちのゆりかごにもなっているのですね。
◇ジンバを育む、山林や湿地
ジンバなどの海藻類が育つには、山林や湿地も大切な役目を果たしていることが最近分かってきました。
海藻や植物プランクトンが育つには「フルボ酸鉄」という栄養分が必要です。これは、陸上の枯れ葉など植物の遺骸から出た物質が鉄分と結びついてできるものです。山林から流れ出る水と比べて、湿地から流れ出る水には、より多くのフルボ酸鉄が含まれています。豊岡で湿地といえば「コウノトリのエサ場」のイメージが強いですが、ジンバも育んでいるのですね。
豊岡の海、山、湿地が育んだ、豊岡のジンバ。今年もおいしくいただきます!
(写真・文:NPO法人コウノトリ市民研究所 北垣和也)