くらし すまいる~厄介者を資源へ 楽しみながら挑戦したい

■Vol.192 東谷(ひがしだに)まどかさん(川西在住)
市内で竹の利活用や竹林整備の会社を創業。
高校生の時に、簿記の県大会で優勝し岩国優秀文化賞を受賞。
現在は1児の母として、育児と事業を楽しみながら活動している。

適切な管理がされていない竹林は土砂崩れの原因になるなど、竹害と呼ばれる問題を引き起こします。この地域課題を解決するため、竹の伐採や加工に挑戦するのが、東谷まどかさんです。
東谷さんは岩国で生まれ育ち、子供の頃はタケノコ掘りやクリ拾いなど、家族で山に行って遊んで楽しかった思い出がいっぱいあるそうです。
高校卒業後、地元企業に就職したものの、体調を崩してしまった東谷さん。休職中、母親から社会課題をビジネスで解決するというアイデアを聞き、竹林の整備と利活用に興味を持ちます。
「実家が山を所有してるので、年々荒れていく放置された竹林は身近な問題でした。経営や竹に関する知識が全くない状態だったけど、面白そうだからやってみたいという直感を信じて、家族の協力を得て会社を設立したんです」と当時を振り返ります。
インターネットで竹の利用方法を調べた東谷さんは、竹が伝統工芸品だけでなく、加工次第でさまざまなものに活用できる可能性を知り、厄介者扱いされる竹を魅力的な資源に変えていきたいと考えるようになります。
「経験者から竹林整備のノウハウを教わりながら、伐採した竹の販路を地道に電話して探しました。その結果、カキ養殖業者のいかだや農業用の土壌改良肥料として、竹が利用されるようになったんです」と話します。
東谷さんは竹のことをもっと知ってもらおうと、地域のイベントに積極的に参加したり、竹林整備の体験会や親子向けのワークショップを行ったりしています。今では、市内で講演を頼まれるようになり、竹林整備の問い合わせも増えて、地域の人から必要とされていることが何より嬉しいそうです。
「竹から利益を生むのは予想以上に大変ですが、里山の管理に悩んでいる地域の人が喜んでくれたり、竹林整備で環境が守られたりすることにやりがいを感じています。みんなで喜び合える関係を作りながら頑張っていきたいです」と笑顔で話してくれました。