くらし 伝統受け継ぐ 陸前高田の3大七夕まつり

本年も、わがまち自慢の夏の風物詩である3つの七夕まつりが、市内各所で行われました。
8月7日(木)に行われたのは、高田町の「うごく七夕まつり」。各地区を出発した大石、鳴石、駅前、大町、荒町、中央、長砂、和野、川原の9つの祭組は、本年も「七夕ロード」に集結。豪華絢爛な山車の練り歩きに合わせて、活気あふれるお囃子(はやし)がまちなかに響き渡りました。
同日には、気仙町の「けんか七夕まつり」も開催。かじ棒に乗って楽しむ子どもたちの姿が見られたほか、2台の山車を激しくぶつけ合う「けんか」は昼と夜にそれぞれ行われました。その迫力は本年も健在で、力強いぶつかり合いと太鼓の響きに、観客も沸き上がっていました。
3大七夕まつりのトリを飾ったのは、11日(月・祝)に行われた矢作町下矢作地区の「下矢作灯篭七夕」。天候にも恵まれたこの日は、老若男女の「よーい、よい」のかけ声が時間を追うごとに大きくなっていき、地域を盛り上げました。夜の部では山車にろうそくの光が灯され、まちを温かく包み込みました。

■次世代の担い手に聞く 受け継がれる七夕への想い
●高田町うごく七夕 駅前祭組 榊原昴(さかきばらすばる)さん
▽まずは自分たちが楽しんで熱を伝えたい
高校卒業後は東京にいましたが、今年の2月に結婚し地元に戻ってきました。これまでも七夕には毎年参加していましたが、久しぶりに準備から携わりました。
やはり七夕は最高です。担い手が減ってきたと言われていますが、参加する若手や子どもたちはむしろ増えているのではないかと思うほど、活気づいている印象があります。まだ先輩方から教わることも多いですが、ここ数年は自分たちの世代がしっかり受け継いでいくという自覚を持つようになり、次を担う子どもたちにもその想いを残していけるよう頑張っています。
そのためには、まず自分たちが楽しむことが一番大切です。みんなで一緒になって楽しみながら、この熱い思いを伝え続けていけたらと思っています。

●気仙町けんか七夕 千葉大輝(ちばだいき)さん
▽気仙町の伝統を絶やさないようにしたい
幼い頃から七夕には参加していますが、2年ほど前から準備も含め深く関わるようになりました。6月上旬頃から始動し、フジのつるを巻く作業などに悪戦苦闘しながら、夜遅くまでかけて準備を進めてきました。
七夕当日を迎えると「夏が来たな」と実感します。伝統の「けんか」を披露する際には、カメラやスマートフォンを持って写真を撮ってくれる方や、「すごい」と感想を言ってくれる方も多く、そうした様子を見ると準備から頑張ってきて本当に良かったと思います。
これまで頑張ってきた先輩方の思いを受け継ぎ、みんなで力を合わせながら、自分たちの誇りである気仙町のこの伝統を絶やさないようにしていきたいです。

●矢作町下矢作灯篭七夕 栗村咲良(くりむらさくら)さん(高田高校3年)・佐藤星恋(さとうせれん)さん(高田第一中2年)
▽地域が団結できるこの行事をつないでいきたい
お囃子の笛を担当し、地域の皆さんに教わりながら当日に向けて練習してきました。下矢作灯篭七夕の魅力である山車の迫力はもちろんですが、私たちも上達した笛の演奏を響かせることができていると思います。
普段、子どもから大人までが一堂に会する場を持つことが難しい中で、こうした行事は地域のみんなが交流し、ひとつになって団結できる貴重な機会です。沿道の皆さんも一緒になって声がけをやってくれるなど、地域が一体となって盛り上がってくれるのがとてもうれしいです。
来年以降も、例えば学校で宣伝して友人たちを呼んだりするなどして、自分たちの世代がこの伝統をつなげていけるよう頑張っていきたいです。

■山車展示が復活しました!
本年の七夕では、東日本大震災前にタピック45(旧道の駅高田松原)で行われていた山車の特別展示とお囃子の披露が復活しました。
会場となったアバッセたかた前の駐車場には、8月7日(木)のうごく七夕まつりに参加した祭組のうち、鳴石、大町、川原の山車を展示。8日(金)から15日(金)までの期間で展示され、七夕まつり当日に参加できなかった地域住民らが、まつりの魅力や雰囲気を体感しようと駆け付け、連日にぎわいを見せました。
展示期間中には、各祭組が1日2、3組集まり、お囃子を披露。競い合うような太鼓と笛の音色で会場は盛り上がり、活気があふれました。11日(月・祝)には、気仙町けんか七夕祭り保存連合会のメンバーが山車の前に太鼓を並べ、力強いお囃子で見物客を魅了しました。
震災による休止を経て、15年ぶりに復活した山車の特別展示。地域住民はもちろん、お盆期間中の帰省者や観光客など、多くの人が七夕の余韻に浸った8日間となりました。