くらし 町の話題(3)

■未来につながる一歩 インターンシップ成果報告会
9月16日、双葉駅前の地域活動拠点FUTAHOMEでインターンの学生による活動の成果報告会が行われました。8月16日から1カ月間、学生インターンが町内に住み、町が抱える課題の解決や新しい価値の創出に向けて活動を続けてきました。この日は、アートを通じた関係人口の増加を目指すプロジェクトや、町全体を伝承館に見立てて復興の歩みを可視化するプロジェクトなど、4つが報告されました。このインターン活動の一環として、すでに動き出しているプロジェクトもあります。「コトラボ本棚プロジェクト」はFUTAHOMEに本棚を設け、寄贈された本を通じて住民と来訪者の交流の場を生み出すというもので、すでに48冊の本が寄贈されています。単に本を集めるのではなく、想いを込めた本が集まる場所にすることで、町民同士の交流や関係人口の拡大が期待されています。1カ月という限られた期間でしたが、若い学生ならではの視点で、双葉町の課題解決にむけた様々な提案が報告されました。みなさん、1カ月間お疲れ様でした。

▽インターンを終えて
・下坂芽さん
双葉町に関わる皆さんの町への想いを強く感じた1カ月でした。その想いが集い、繋がるきっかけを生むことができたのならとても嬉しく思います。ありがとうございました!

・立石直輝さん
充実した日々でした。ふたほめ文庫がこの先も、双葉町に想いのある全ての人に、ひとや町と関係を築く第一歩として活用されるのならば、これ以上に嬉しいことはありません。

・田中優衣さん
最初は不安でいっぱいでしたが、双葉町の個人の挑戦を応援する温かい雰囲気で乗り越えることができました。ありがとうございました!

・喜古悠愛さん
双葉町で普段出会えない人々と出会い、多くの対話を重ねて、町で聞いた生の声に心を動かされました。双葉町の温かい交流の中で多くの自分自身を見つめるきっかけにもなりました。

・塚本唯佳さん
活動の中で名前を覚えて声をかけていただけたことが本当に嬉しかったです。短い滞在でしたが、多くの方に助けていただき、無事に活動ができました。ありがとうございました。また来ます!

■伝承館来場者40万人を超える
東日本大震災・原子力災害伝承館の来場者が8月24日に40万人を達成しました。伝承館は2020年9月双葉町中野地区にオープンし、4年11ヵ月で40万人を超えました。記念すべき40万人目となった茨城県境町の会社員門脇祐樹さんとそのご家族には森隆史副町長から縁起物の「双葉ダルマ」などの記念品が贈呈されました。
40万人達成について伝承館では被災地の復興を学ぶホープツーリズムの一環として来場される方が多いと分析しています。町の新たな観光拠点として更なる観光客の訪問による交流人口の拡大が期待されます。

■原子力損害賠償紛争審査会の町内視察
9月1日、東京電力の原発事故の賠償指針を定める原子力損害賠償紛争審査会が双葉町内の帰還困難区域やイオン双葉店など新しいまちづくりの取り組みについて視察しました。この視察は国の賠償基準「中間指針」に基づく請求受付や支払い状況の確認を目的に行われたものです。双葉町内の視察にあわせて町では町議会と連名で大村敦志会長に要望書を提出し、避難の長期化に伴う賠償などを要望しました。

▽要望内容(一部抜粋)
(1)日常生活阻害慰謝料について(賠償期間の見直し)
(2)避難指示区域内の営業損害及び就労不能損害(地域の現状や事故の特殊性を把握し確実・迅速な賠償の実施)
(3)原子力損害賠償の水平展開について(直接請求によって一律に対応できるよう指針を見直すこと)

■双葉町に伝わる「坂上田村麻呂」ゆかりの伝説
~古代の歴史が今に残る、寺社と伝承~
平安時代のはじめ、朝廷から征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)に任命された坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ/758~811年)は、当時「蝦夷(えみし)」と呼ばれていた東北地方の人々と戦い、服従させたとされています。
この歴史的事実は、のちに多くの伝説や物語として語られるようになり、特に東北地方には、坂上田村麻呂が関わったとされる寺社や地名が数多く残っています。

▽双葉町にも残る、坂上田村麻呂ゆかりの寺社
双葉町内にも、坂上田村麻呂が創建したと伝えられる寺社がいくつかあります。
1976~77年に刊行された『双葉町文化財資料(第1集・第2集)』によると、以下の6ヵ所が坂上田村麻呂に関係するとされる寺社・お堂です。
・寺内阿弥陀堂(長塚地区)
・諏訪神社(両竹地区)
・日吉神社(寺沢地区)
・白山神社(長塚地区)
・仲禅寺(寺沢地区)
・前田地区(現存せず・名称不明)
町指定文化財「十一面観世音坐像」の由緒に、坂上田村麻呂による創建と記されています。

▽共通する2つの伝承
これらの寺社に伝わる由緒にはさまざまな違いがあるものの、次の2つの共通点が見られます。
大滝根山(田村市・川内村)にいた「賊」や「豪族」を坂上田村麻呂が討伐し、その記念として寺社を建てたとすること。
寺社が創建されたのは「大同2年(西暦807年)」であるとすること
これらの特徴は、福島県内の他地域に伝わる坂上田村麻呂伝説とも共通しており、もともと他の地域にあった物語が、双葉町にも伝わり、形を変えて伝承された可能性があります。

▽伝承の起源と近年の研究
近年の研究では、たとえば両竹諏訪神社の坂上田村麻呂伝説は、江戸時代の記録には登場せず、近代以降に生まれた可能性があると指摘されています。(参考)西村慎太郎「両竹諏訪神社の歴史」(『大字誌両竹1』収録、2019年)
他の寺社に伝わる由緒も、いつから確認できるのかは、今後の調査が必要です。

▽歴史伝説の価値
双葉町に伝わるこれらの坂上田村麻呂伝説は、全国に広がった坂上田村麻呂伝説の一端を示す貴重な事例として、歴史や民俗の研究においても重要です。
また、地域の文化や歴史を知るうえでも、大切な手がかりとなっています。

■歴史文化講座を開催します
双葉町出身の朝川美幸氏、泉田邦彦氏のお二人を講師に招き、双葉町の中世史や寺院の歴史についてお話しいただきます。興味のある方は、生涯学習課までご連絡をお願いします。
演題:「地域の歴史を学ぶ~基礎知識編~」
講師:朝川美幸(総本山仁和寺学芸員)、泉田邦彦(石巻市博物館学芸員)
日時:令和7年11月8日(土)午後1時30分~午後4時00分
会場:双葉町産業交流センター 1階大会議室
定員:50名(要申込)

問合せ:教育委員会生涯学習課
【電話】0240-33-0206