くらし 〔第55回 市長対談〕津駅周辺の将来像~バスタ構想から、まちの再編を描く~(1)

津駅の開業とともに発展を遂げてきた津駅周辺エリア。利用者の増加に伴う駅前広場の混雑や、東西エリアの分断などの課題が増える中、道路法改正を契機に、津駅周辺道路空間の半世紀ぶりの再編に向けて動き始めています。
今回の市長対談では、中部地方整備局 望月拓郎道路部長と名城大学 松本幸正教授に、バスタプロジェクトの構想や津駅周辺の再開発についてお話を伺いました。

津市長 前葉 泰幸(YASUYUKI MAEBA)

国土交通省 中部地方整備局 道路部長 望月 拓郎(TAKURO MOCHIZUKI)
平成11年旧建設省入省。道路局環境安全・防災課地域道路調整官、国土政策局広域地方政策課調整室長等の要職を歴任後、令和5年7月から現職を務める。

名城大学 理工学部 社会基盤デザイン工学科教授 松本 幸正(YUKIMASA MATSUMOTO)
「人と環境にやさしい交通まちづくり」をテーマに交通・都市・まちづくりに関する研究に取り組む。令和2年度から津市地域公共交通活性化協議会会長を務めるなど、津市の地域公共交通に精通する。

■新たな津駅の姿へと動き始めた駅周辺道路空間の再編事業
市長:津駅周辺は行政、商業、オフィスなどさまざまな都市機能が集積し、また複数の公共交通の路線が乗り入れる交通の結節点でもあります。その歴史をひもときますと、津駅は明治24年に開業。駅の東口・西口では昭和39年〜56年に土地区画整理事業が行われ、昭和48年に現在の西口が、同54年に東口のロータリーが完成しました。このような中、特に大きく姿を変えたのは駅の西側で、丘陵地に住宅地や文教施設が建ち並ぶようになりました。もともと東側には商業施設やオフィスがたくさんあり、駅西も同様に発展してきたわけです。
今、この津駅の西口・東口の姿を50年ぶりに変えていこうと、国・県・市が話を進めています。この取り組みはちょうど5年前、令和2年の道路法の改正により「バスタプロジェクト」が位置付けられたことを契機にスタートしていますが、この内容についてお聞かせください。
望月:バスタとは集約型公共交通ターミナルのことで、その整備・運営をバスタプロジェクトといいます。「みち・えき・まちが一体となった新たな未来空間の創出」をコンセプトに、バス利用者や周辺住民を中心とした空間づくりを推進しています。バスや鉄道など多様な交通モードの連結が目的の一つで、官民連携の推進のために民間開発や※PPP/PFIなども活用しながらまちづくりをしていくものです。もう一つ大事なことがICTの活用で、ハード整備だけではなく、ICT技術を使ったソフト面の整備も進めています。これらを通じて、地域の活性化や災害対応の強化、生産性の向上などを目指し、現在、全国23カ所でバスタプロジェクトが進められています。
※公共事業における官民連携の手法

■交通拠点性が高い産業構造と気運の高まりがもたらした津駅のバスタプロジェクト
市長:県内では四日市市と津市の2カ所でバスタ構想が進んでいます。1つの都道府県で2カ所以上のプロジェクトが動いているのは、東京・神奈川・沖縄・三重だけで、私たちとしては大きな期待を寄せているところです。
松本:県内2カ所というのは大変喜ばしいことだと思います。四日市市と津市は人口規模、そしてDID(人口が集中している地区)における面積・人口ともに県下1、2位ということで、産業構造が集約され、交通の拠点性も高い。集めて運ぶ公共交通にとって、ふさわしい人口・土地利用になっています。昼夜間人口比率も高く、仕事やショッピングのために昼間の人口が夜間よりも多いという特徴も見られます。
また、鉄道やバス路線が多数乗り入れており、国道も通っている。交通ネットワークの拠点性が高いことがバスタに選ばれた理由だと思います。特に津市は、津なぎさまちの航路がありますので、これも大きいですね。
そして何より大事なのは、地元のやる気や機運だと思います。津駅東口・西口の整備から50年が経ち、地域と産業界で「新しいまちづくりに向けて津駅を盛り上げていこう」という機運が高まっているということではないでしょうか。

●津駅の現状
東西駅前広場における混雑の解消に向けて、バス・送迎車両・鉄道・歩行者の状況等を把握するための調査を実施しました。

▽津駅の路線バス乗降者数
約5300人/日
東口:約3100人
西口:約2200人

▽駅前広場への車両進入台数(ピーク時)
東口:約120台
西口:約420台

▽津駅の鉄道乗降者数
令和5年度:約1万9000人/日

▽津駅西側の人口
昭和42年頃:約5000人
令和7年:約2万3000人

問合せ:建設政策課
【電話】229-3194【FAX】229-3345