- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県津市
- 広報紙名 : 広報つ! 令和7年8月号
■交通分析で見えた津駅の課題 鉄道ではなく拠点として「まちの顔」となるために
市長:バスタへの期待が高まる中、国において進めていただいている調査の中で見えてきた課題を教えてください。
望月:昨年の交通量調査において、路線バスの乗降者数は1日当たり5000人強と多くの利用がありました。その中で、東口のロータリー北側では、朝夕のピーク時にバス車両の混雑や乗降者と歩行者の錯綜(さくそう)が見られ、広さが足りていない所があると思われます。また、南側ではタクシーと一般車が錯綜し、さらに高速バス停留所はロータリーから離れた所にあり、屋根もなく不便さがうかがえました。
市長:西口でもロータリーの見直しを進めていますが、離れた所にバス停があり交通の支障になっています。東口においても送迎バスの乗り場などが離れた場所にありますが、松本先生はこの交通分析をどのように見られますか。
松本:タクシーと一般車は混在しているのですが、バスは分かれていますので、悪いわけではありません。ただ、駅の東西にバス停があり、初めて津市に降り立った人にとって分かりにくく、この点は解消すべき問題です。
また、一般車の流れが悪く、駅からまちへ向かう人の流れがバス待ち行列と交錯してしまうのは、将来的な改善が望まれます。
そして、駅とは交通の結節点であり「まちの顔」でもあります。駅からまちの中心へうまくつなぐ必要もあると感じます。
市長:鉄道としてではなく「拠点」として考えることが大切なんですね。その上で、バスタにどのような機能を持たせるべく構想を進めておられますか。
望月:バスタは公共交通の結節点であると同時に、地域のゲートウェイ(玄関口)として核となる施設です。公共交通機関の結節点として、鉄道やバス、国道23号からの一般車・タクシーなどを途切れなくつなぐことが大切です。また観光客も含む利用者が容易にバスを利用できるよう、ICT技術等も活用して分かりやすく案内する必要があります。
そして、バスタの機能の一つに防災機能があります。津駅周辺は昼間に働きに来る方が大勢いらっしゃいますので、万が一大きな地震が発生した時に、津駅が安全に一時避難できる施設となることが求められます。
公共交通ターミナルを整備するだけでは、地域の活性化は図れません。周辺の開発も含め、民間の力とうまく連携して進めることが大切だと思います。
■駅とまちがつながるにぎわいと滞留空間を生むバスタ上部空間の活用
市長:仮定の話ですが、東口にバスターミナルを整備する場合、平面的な利用のみならず立体的な利用も制度的には可能なのでしょうか。
望月:立体道路制度を活用することで、道路の上部空間に建物を建てることや地下空間を活用することも可能です。
市長:バスタでは駅の屋根をデッキとして活用するケースがありますが、これに加え上部空間をホテルやオフィス、レジデンスなどに活用する可能性も考えられます。このような津駅のあり方についてどうお考えですか。
松本:津駅前は面積が限られていますので、立体道路制度を最大限に活用して駅周辺に集客機能を持ってくることは望ましいことだと思います。
もう一つ大事なことは、駅前だけで全てを完結させないことです。駅前に少し欠けているものがあって、それがまちにあり、駅とまちがつながっていく。そんな発想を持っていただくといいと思います。オフィスが集積すれば昼間人口が増え、昼間人口が増えればお店が集まり、周辺開発も進むという好循環につながります。そういう意味で立体化は床面積を増やす有効策だと思います。建設コストや維持管理も踏まえた上で、将来を見据えながらどんな駅がふさわしいかを、市民の皆さんと一緒に描いていく必要があります。
●津駅周辺基盤整備ビジョンにおけるコンセプト・目標
現状調査等で把握した地区の特性や課題等から、将来目指すべき姿を示す「津駅周辺基盤整備の方向性(ビジョン)」が津市により策定されました。
▽コンセプト
津駅東口:交通結節機能が強化され、広域から人が集まり、にぎわいや憩いの場がある東口
東西連携:さまざまな人が東西を行き交い交流が生まれる
津駅西口:市民の安心・快適な移動を支える西口
▽目標
交通結節機能の充実:誰もが使いやすく、快適に移動できる
防災機能の確保:安全に利用でき、災害に強い空間
にぎわい・滞留空間の創出:多様な人が集い、都市拠点の魅力が向上
東西連携の強化:東西の地域がつながり、交流が深まる
回遊性の向上:駅を拠点に、自然に人が集まる
問合せ:建設政策課
【電話】229-3194【FAX】229-3345