くらし 特集 認知症 自分らしく生きる。それを支える仲間がいる。(1)

■希望を持ち自分らしく暮らせる伊勢市を目指して
◇9月は認知症月間
1994年に「国際アルツハイマー病協会」(ADI(エーディーアイ))は、毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定し、この日を中心に認知症の啓発を実施しています。そして、日本では、2024年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」において、9月21日を「認知症の日」、9月を「認知症月間」と定めています。これをきっかけに認知症について考えてみましょう。

◇新しい認知症観
2022年の推計で、65歳以上の高齢者の約3.6人に1人が認知症またはその予備群といえる状況です。認知症の人をはじめ、すべての人が温かく尊厳を持ち暮らすことができる社会を目指し、一人一人が自分たちが創る未来として考え、推進していくことが求められています。
「認知症になったら何もできなくなるのではなく、一人一人が個人としてできること、やりたいことがあり、住み慣れたまちで、仲間等とつながりながら、自分らしく暮らし続けることができる」という考え方を「新しい認知症観」といいます。認知症を、誰もがなり得るものとして、自分ごととして考え、新しい認知症観をもとに、共に支え合って暮らすことが大切です。

◇65歳以上の高齢者における認知症の現状(全国)
(令和4年(2022年)時点の推計値)

引用:政府広報オンライン 知っておきたい認知症の基本

■Interview(インタビュー)
誰もがなり得る認知症 相談することで次への第一歩に
伊勢志摩区域連携型認知症疾患医療センター
いせ山川クリニック 院長 山川 伸隆さん

◇認知症とは
今まで普通にできていたことが、さまざまな原因でできなくなり、日常生活に支障が出てきた状態を「認知症」といいます。
認知症は、治療が難しいケースが多いですが、適切な診断、治療によって治る認知症も1割から2割程度含まれています。「年齢のせいだから仕方ない」と決めつけずに、かかりつけ医や専門の医療機関を受診することが大切です。できるだけ本人が自分の気持ちや考えをお話しでき、まだまだいろいろなことができる状況の時に専門機関に相談できると、余裕を持って次の準備につなげることができます。

◇若年性認知症とは
65歳未満で発症した認知症であり年齢層が幅広いです。約束をすっかり忘れてしまうことや、今まで使えていたパソコンが急に使えなくなってしまうことなど、日常生活のささいなことをきっかけに本人が気付くことが多いです。特徴的な所見が少ないところも発見や診断が難しい病気です。「まさか自分が⁉」という思いから、〝たまた疲れているだけだ〞〝調子が悪いだけだ〞と無理やり自分を納得させてしまい、医療機関への受診が遅れることも少なくありません。
まだまだ働き盛りの世代であり、経済面でとても不安になることが多いです。状況によっては、自分の両親と合わせて、パートナーの介護が重なったり、家族の誰かが結婚したり、受験生がいることもありますので、抱える悩みも人それぞれです。

◇一人で抱え込まず、相談しましょう
デリケートな話ですので、相談しても受け入れてもらえるのか心配になるかもしれません。相談できる場所として、「福祉総合支援センターよりそい」や「地域包括支援センター」があります。一人で抱え込まずに、こういった場所を利用して、どんなことでもよいので相談したり、思いの丈を話したりすることで、次への一歩につながると思います。

◇やりたいことをできることが大切
以前のようにはできなくても、その人のやりたいことができる、それをみんなで支えることが大切です。伊勢市では地元企業の御協力もあり、スローショッピングの取り組みを継続しています。参加者の皆さんも、自分のペースで品物を見て回りながら、買いたいものを自分の目で確かめ、自分で選んで買える楽しさを十分味わってもらえています。
こういった取り組みも「認知症の人のため」というのではなく、車椅子の人やつえをつく人など、誰もが利用しやすいものとして広がっていくとうれしいです。

■若年性認知症の相談
~ひとりじゃないよ みんながいるよ~
ご本人・家族で悩みを抱えずご相談ください。

◇若年性認知症電話相談
【電話】059-382-8490
【電話】090-5459-0960
受付時間:平日10:00~17:00
※祝日・8/13~8/15・12/29~1/3を除く
※三重県が有限会社イトーファーマシーに委託して実施しています。

■伊勢市認知症初期集中支援チーム
市では、認知症が疑われる人や認知症の人とその家族を早期に支援するため、認知症の専門の医師、認知症地域支援推進員、保健師などで構成する専門チーム「認知症初期集中支援チーム」がサポートしています。

◇サポートの流れ
・本人や家族からの相談(よりそいや地域包括支援センター)

保健師などのチーム員が家庭を訪問
相談に応じます。

認知症の専門の医師と「チーム員会議」
方針を話し合います。

本人や家族に合わせた、介護保険サービスなどの利用や対応方法のサポートを行います。

問合せ:福祉総合支援センター よりそい
【電話】21-5611【FAX】63-5420