- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県佐用町
- 広報紙名 : 広報さよう 令和7年9月号
あの日から16年。私たちは、大きな被害をもたらした災害の記憶を風化させず、未来の命を守る備えにつなげねばなりません。避難所の確認や非常持ち出し品の点検は「自助」、日ごろの声かけは「共助」、行政の体制づくりは「公助」。その積み重ねが、いざという時に自分を守る力になります。あの日を忘れず、常日頃から災害に備えましょう。
8月9日で、平成21年台風第9号災害から16年を迎えました。当時、町は河川の氾濫や土砂災害に見舞われ、多くの尊い命と日常の暮らしが奪われました。復興の道のりは決して平坦ではありませんでしたが、地域の支え合いや全国から寄せられた励ましによって少しずつ歩みを重ね、今日の町の姿があります。
私たちにとって忘れてはいけないこの日、町内では大雨の記憶を振り返りながら、追悼式や地域の催しなど、さまざまな行事が行われました。
あの出来事を語り継ぐことは、未来に生きる子どもたちの命を守る大切な教えとなります。
◆記憶を抱き、備える―自助
久崎復興ひろばの復興モニュメント前では、遺族ら約60人が献花しました。小林武さん(本郷)は「災害の記憶は今も鮮明だ。避難所の場所を日頃から確認するなど、自分で備えることが大切だ」と語りました。記憶は学びに変わり、日常の小さな備えが命を守ります。
◆お互いに気をかける―共助
紙すき文化伝承館(中上月)で開かれた「上月行燈祭」には、雨の中約200人が訪れました。新田恵美子さん(下上月)は「災害を経験して、普段から近所に声をかけ合っている」と話します。隣り合う関係の中で互いを気にかけることが、いざという時の力になります。
◆行政ができること―公助
前日の8月8日、役場では若手職員を中心に災害対応訓練が行われました。対策班ごとの役割分担や関係機関との連携を確認し、現地を知る重要性が改めて共有されました。
今年入庁した企画防災課の山田翔太郎さんは「地名やその土地の様子を知っておくことが、災害時に住民の命を守る力になると改めて感じた。役場職員として自覚を持って取り組みたい」と気を引き締めました。
あの日の記憶はただ保存するだけでなく、日々の行動に活かすことが大切です。
家族で避難所の場所を確認し、非常持ち出し品を点検し、近所の人と普段から声を掛け合いましょう。その積み重ねこそが、未来の命を守る確かな力になります。